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基準となるもの

  • 執筆者の写真: nakashiro
    nakashiro
  • 2018年3月13日
  • 読了時間: 3分

何を基準に患者さんの入れ歯を作りますか?

漠然と「何か?」を探してみても、何もみつからない! そのいちばん大きな原因は「求め方」あるいは「探し方」にあるようです。



噛むということ

貝原紘一 

 なぜ人間は、口の中に入ったものを無意識のうちに噛むことができるのでしょう?  顎をどのようにして動かして、食べ物をどうやって噛めばよいかなど考えることもなく、誰もがリズミカルにものを噛むことができます。あたりまえの行為だと思われがちですが、よくよく考えてみれば、この仕組みは不可思議であると思いませんか? 噛むと言うことは,きわめて動物的行為であり、欲求に密着した行為です。3大欲望の一つである食欲(=食べる)は「噛む」という行為で成立します。噛む(噛める)ということは肉体的欲求を充たすと共に精神的にも生命を維持していくために必要な行為なのです。 身近な例として犬を見れば良く分かります。タオルやロープを咥えさせると体全体を使って引っ張り、首を激しく振りますよね。強くものを噛む、引きちぎるために首を振るということが連動しているのです。 犬用のチューイングガムは柔らかいペットフードでは満たされない犬の「噛む」という欲求を満足させるためです。しかし、子犬にチューイングガムは避けてほしいと思います。乳歯であり顎が完成していない子犬の時期に何か硬いものを噛んでしまうと、犬の顎の位置が狂うのです。 そのため狂ったズレを補正するために、必ず一定方向で何かにもたれて寝るようになります。 皆さんの家庭で犬を飼っておられたら観察してみてください。大丈夫でしょうか? 人間も犬歯の位置が左右で違いのある人は、昼間は幅が広いほうに顎がふっているので、寝るときはその反対側を上にして寝ることになります。この様な人の下顎前歯の正中は狂っている事もあります。しかし、人間は理性でカバーする分が大きいので、あまり目立たないだけなのです。 お酒を飲んだりして理性の締め付けが緩んでくると,普段我慢していることが表面に現れることがよくあります。泣いたり笑ったり、大声をだしたり・・・実は「噛む」という欲求も見受けられます。お酒が入るとピーナッツやカキのたねやサキイカなど噛み応えの有るものを注文する人がいますね。満腹なのに止めることなく噛みつづけることもある。一種の退行現象でもあると思われますが,普段の生活で噛むということが欠けているからこそ、こういう機会に口をうごかして「噛む」という本能の欲求を満たすと考えることができます。 最近の宇宙食が固形になった理由も、このことが大きく関係しています。 栄養面だけ考えれば、消化吸収が早い流動食がベストでしょう。でも咀嚼する「噛む」という活動をいれないと脳が活性化せず、情緒が不安定になってしまうのです。 「噛む」ということは生き物にとって快感の一種なので、「噛めない」と欲求不満になってしまうのです。よく噛まない人は精神的に不安定になりやすいといえます。 「噛む」ということを見直してみませんか?

西日本歯科研究会 資料からの抜粋 

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